森林利用学会誌
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速報
林業用高強度合成繊維ロープの損傷程度と残存強度
鈴木 保志杉尾 真菜山﨑 敏彦山﨑 真川久保 宜幸渡辺 靖崇
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2017 年 32 巻 3 号 p. 131-136

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抄録

林業用高強度合成繊維ロープは摩耗に弱く,交換時期の適切な判断のために損傷程度と残存強度の関係を知る必要がある。径10mm(12ストランド)の林業用高強度合成繊維ロープを用いて,対照と端末処理の方法も含めて損傷の種類と程度の組み合わせで8種類の処理を設け,繰り返し数3で処理後の破断強度との関係を調べた。端末加工はロープ末端を直に10山分(20ストランド分)通すのみの簡易加工とした。対照(無処理)に対し端末包み込み処理は強度が高い傾向だが有意差は認められなかった。グラインダによる摩耗処理では,表面摩耗について硬軟2種類の研磨盤間に有意差は認められなかったが,ストランド谷間までの摩耗(深度摩耗)では軟で特に強度が落ちていた。ストランド2切断と4切断の間には有意差は認められず,破断強度は表面摩耗と同程度であった。処理後の径から算出した有効断面積と破断強度の関係では,深度摩耗は有効断面積に対して明らかに低い破断強度となっており,その原因は摩耗加工時に熱が発生したためと考えられた。

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