森林利用学会誌
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論文
CNN の深層学習を用いた樹皮画像によるスギ・ヒノキの分類の実現
神原 章博富永 歩志垣 俊介林 英治藤澤 隆介
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2021 年 36 巻 1 号 論文ID: 36.5

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抄録

日本の人工林は,約102,000km 2 であり,その約7 割はスギ・ヒノキが占めている。人工林の半数は,すでに主伐期を迎えた樹木で覆われており,これらの樹木を積極的に収穫し,国産木材として利用することで,森林循環を実現することが求められている。一方で,令和元年における林業の死傷年千人率は,他産業に比べて約2 ~10 倍であり,林業の死傷者数は群を抜いて多く, 林業分野における生産性および安全性の向上に向けた新技術の導入が求められている。本研究では,林業における毎木調査の省力化に着目した。これまでの研究で,モバイル端末や単眼カメラで撮影された樹皮画像を対象とした樹皮識別は十分に検討されていない。軽量な単眼カメラを用いての樹種識別が実現すれば,広域な山林でもドローンへ軽量カメラを搭載することで,低コストで樹種分布図を作成することが可能となり,データベース上での情報共有・一元管理を容易にすると考えられ,林業のIoT 化に貢献する。 本研究では,公開されている既存技術を統合することでスギ・ヒノキをどの程度の識別可能か検証する。樹皮画像を対象として,単眼カメラで撮影し収集した画像データセット(スギ・ヒノキの2 種類)を用いて識別器を作成し,少ない作業で80% 程度の識別率を実現するための手法を確立することを目的とする。検証の結果,作成した識別器により,画像内の樹木の識別を実現した。またその識別率は,適切に画像データを用意することで目的であった80%程度の識別を実現した。

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