森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
Print ISSN : 1342-3134
ISSN-L : 1342-3134
速報
ゴムクローラ式クラムバンクスキッダの開発と作業性能の評価
吉田 智佳史佐々木 達也瀧 誠志郎中澤 昌彦上村 巧田中 良明中島 泰生千原 敬也
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 36 巻 1 号 論文ID: 36.51

詳細
抄録

全木・全幹集材方式による車両系集材作業システムの構築を目的に,わが国の伐出作業条件に適した新たなスキッダを試作した。本機は,比較的小型の車体にゴムクローラ式の走行装置,クラムバンク型の把持装置,積載用グラップルローダ等を装備する構造とした。材の牽引走行を想定した性能試験を行った結果,牽引による走行速度の低下は小さいこと,およそ65 kN の最大牽引力があること,履帯のスリップ率は5 % と比較的小さいこと等から十分な実用性があることが確認された。また,スギ・ヒノキ林の皆伐作業地3 か所において試作機による全木集材と同クラスのフォワーダによる短幹集材の比較試験を行った。その結果,フォワーダに比べスキッダは,積載量が平均26 % 多いこと,作業時間あたりの積載量は荷積みが概ね同等で荷降しが18 %高いこと,走行速度は空走行,実走行ともにスキッダの方がおよそ1割低いこと等が示された。サイクルタイムと積載量を用いて集材作業の生産性を求めた結果,フォワーダに比べスキッダの方がおよそ4 割高いことがわかった。また,搭載するグラップルローダの性能向上や木寄せされた全木材の集積方法の工夫等により生産性はさらに向上する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2021 森林利用学会
前の記事 次の記事
feedback
Top