機械地拵えによって競合植生を抑制し,下刈り回数を削減することが可能か検証するため,バケット及びグラップルによる機械地拵えと人力地拵え,無地拵えの試験区を設定し,地拵え区分が競合植生と植栽木の成長に与える影響を調査した。植栽木周辺における競合植生の被度と最大植生高,被圧された植栽木の割合は,いずれもバケット地拵えで最も低くなり,グラップル地拵えがそれに続いた。最大植生のタイプは,木本類の割合がバケット及びグラップル地拵えでは少ない傾向がみられた。植栽木の生存率は,バケット及びグラップル地拵えでは植栽3 年目においても高い状態を維持し,無地拵えと人力地拵えでの生存率は低下する傾向がみられた。しかし,植栽木の平均樹高はバケット地拵えで高くはなく,A 0 層土壌の除去が競合植生の発生を抑制すると同時に植栽木の成長に負の影響を与える可能性が考えられた。以上により,各地拵え区分における下刈りスケジュールを検討した結果,バケット地拵えに一貫作業と裸苗植栽を組み合わせた場合,地拵え,植栽,下刈りの各コストが最も低くなり,再造林コストは従来比50%程度になると試算された。