森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
Print ISSN : 1342-3134
ISSN-L : 1342-3134
論文
中距離対応型タワーヤーダによる皆伐の上げ荷集材作業の生産性
中澤 昌彦瀧 誠志郎佐々木 達也上村 巧田中 良明白澤 紘明吉田 智佳史毛綱 昌弘山﨑 敏彦山﨑 真渡辺 直史千原 敬也
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 37 巻 1 号 論文ID: 37.47

詳細
抄録

中距離対応型のタワーヤーダによる皆伐の上げ荷集材作業の生産性を明らかにすることを目的に,急傾斜地の針葉樹人工林において皆伐作業を観測し時間分析を行った。作業システムは,作業道上に搬器操作も兼務する造材機械操作手1 人,先山に伐倒手1 人,搬器操作手1 人,荷掛手1 人の4 人作業を適用した。平均集材距離が137.5 ± 5.0 m,平均横取り距離が15.0 ± 5.2 m の作業条件において,作業時間11,729 秒,サイクル数31 回,集材幹材積30.9 m3 ,素材生産量29.2 m 3 を観測し,サイクルタイムは378.4 秒/ 回,平均荷掛量は1.0 ± 0.23 m 3 /回,生産性は9.0 m3 /時となり,中距離対応型タワーヤーダによる皆伐の伐木から集材,造材工程までの労働生産性が2.2 m 3 /人時と求められた。既往の間伐および本研究の皆伐の作業時間分析結果から,集材距離と横取り距離を変数とした合計作業時間の予測式を導出し,想定した荷掛け量をこの作業時間で除して皆伐の上げ荷集材作業の生産性を予測した。以上から,間伐と同様に皆伐においてもこのタワーヤーダを用いた作業システムは高い労働生産性が期待できることを明らかにした。

著者関連情報
© 2022 森林利用学会
前の記事 次の記事
feedback
Top