経済性と林地荒廃リスクへの配慮が両立可能な皆伐作業を実現するための基礎情報提供を目的として,皆伐地集材路の実態を把握した。調査は皆伐地63 か所を対象として行った。調査の結果,集材路密度は全伐区の平均が361 m/ha となり,伐区の地山傾斜にかかわらず高い値を示した。平均集材距離, 配置形態および集材方法の観点から検討したところ,高密に開設されていてもネットワークの発達に寄与していないなど,必要以上の開設が行われていることが示唆された。集材路の盛土崩壊は168 か所確認され,特に地山傾斜30°以上の急傾斜地では盛土崩壊リスクが大きくなることが明らかになった。急傾斜地においても一定量の集材路が開設されており,そのような場所で生じた盛土崩壊により,継続的な利用が困難となっている状況も多くみられた。また,集材路に関係する林地荒廃の割合も大きいことが明らかになった。