2017年から2021年に発生した林業の死亡災害はチェーンソーによる伐木作業中の災害が61%と最も多く,その中でもかかり木処理中の災害が32%を占めている。かかり木処理作業のうち元玉切りは,法令等でも具体的な切込み位置や形状及び順序について示されておらず不明である。そこで本研究では,かかり木処理作業の安全性を向上させる方策を検討するために,アンケートによる作業現場での元玉切りに関する実態調査を行った。その結果,鋸断手順については30種類に分類され,元玉切りの別称については32種類の回答があった。これらのことから,元玉切りは統一された鋸断手順を示す言葉ではないことが分かった。また,鋸断手順と別称に一貫性はなく,地域や組織等の狭い範囲で元玉切りの鋸断手順が伝達されていることが伺える結果となった。