森林計画学会誌
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中国における製紙工業の原料調達構造に関する一考察
陸 薇小池 正雄
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2005 年 39 巻 2 号 p. 171-181

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抄録
社会主義的市場経済化の進展の著しい中国においては,経済の急速な成長に伴って,製紙工業の急速な発展は世界中で注目されていながら,原料調達の不合理や原料供給の不足が中国製紙工業の発展を制約しているボトルネック問題となってきている。このような状況の下で,政府によって提出された木材繊維を主として,古紙の回収・再利用を拡大し,非木材繊維を合理的に使用するという原料調達構造調整の目標が,果たして実現されうるのかどうかを明らかにすることを,本論文の課題とする。資料の分析や専門家に対する聞き取り調査結果から,次のことが明らかになった。(1)中国において原料調達構造を調整する目標を短期間に本格的に実現することは非常に難しい。(2)木材繊維を使用するまでの過渡的な現段階においては,原料調達の焦点を木材調達の解決だけに絞ってしまうのではなくて,古紙を主として,木材原料の使用量を段々と高めて,非木材を適正に活用すべきである。(3)原料基地と生産基地の建設において,外資の参入が積極的に図られているが,この動向を解明することも大きな課題として残されている。
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© 2005 森林計画学会
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