日本林学会誌
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マツの子苗立枯病に関する研究 (第1報)
山本 昌木洪 春洋橋本 平一
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1965 年 47 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

(1) マツ種子は古いほど発芽率が悪く,子苗立枯病の発生率も高い。(2) クロマツ子苗の発病率はアカマッのそれよりも少ない。(3) マッ種子から分離した糸状菌のうちで, Chaetomella 属菌がマツ種子の発芽を強く阻害した。(4) マッ子苗のPre-emergence damping-off, Postemergence damping-offともに,温度の影響を受けるが, Post-emergence damping-offの発病は20°~36°Cで認められ,とくに28°Cにおいて高い発病率を示した。(5) マツ子菌の立枯病において, Pre-emergence damping-offの発生は, Post-elnergnce dampingよりいちじるしく少ないので, Post-emergence damping-offの方が重要性を持つようである。(6) 松江市上乃木町のマッ苗畑の立枯罹病苗から分離した糸状菌のうちで, Fusarium菌の病原性が最も強かった。
(7) Fusarium菌は17~30°Cで発育し28°Cが最適発育温度であり,発育最適水素イオン濃度は, pH 5.6付近である。(8) 分離されたFusarium菌のうちFusarium moniliforme (Scheld.) Snyd. et Hans. (2系),とFusarium oxysporum (Schl.) Snyd. et Hans. とが同定された。

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