日本林学会誌
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黒粒枝枯病菌の生理的牲質ならびに各種培地に形成された分生胞子の大きさの変異
小林 享夫
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1971 年 53 巻 3 号 p. 57-67

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抄録
わが国に産する7種のMelanconis属菌(黒粒枝枯病菌)のうち, 6種(表-1)について,寒天培地,米ヌカ・フスマ培地,殺菌枝などの各種培地上における菌の生育,分生胞子形成量,分生胞子の発芽性質,および形成された分生胞子の大きさと形の変異を調査した。
供試6種の黒粒枝枯病菌は,主として分生胞子の形と大きさ, B-胞子の有無などにより3群に分けられる。
第I群に属する,クルミ上のM. juglandisとサワグルミのM. pterocaryaeは,生理的諸性質および分生胞子の大きさ・形において互いに区別され,とくに後者は水素イオン濃度,温度に対して他の種にみられぬ特異な傾向を示した。
第II群に属する種のうち,カンバに生ずるM. itoanaは分生胞子の形・大きさ,培地上の諸性質,分生胞子の発芽性質などにおいて,明らかに他の2種と異なる。しかし,カンバに生ずるM. stilbostomaとハンノキに生ずるM. marginalisとは,生理的諸性質において互いによく似た傾向を示す点と,異なる傾向を示す点があり,また各種培地上に形成された分生胞子の大きさの変異も,互いに重複する部分がある。したがって両種の区別は,子のう世代の形態, B-胞子の大きさを含めた総合判断によって行なわれる。両種の異同については,今後接種試験による寄主範囲の調査などを含めて,再検討する心要があろう。
第III群はクリに生ずるM. microspora 1種よりなる。子のう胞子・分生胞子の形態により明らかに他の5種と区別されるが,その生理的諸性質も他の5種と比べて明らかに異なる。
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