日本林学会誌
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マツノマダラカミキリに対する有機リン単剤と有機リン剤・EDB混合剤の殺虫力の比較 (I)
成虫に対する経口毒性と接触毒性
岸 洋一
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1975 年 57 巻 10 号 p. 334-338

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抄録

供試虫は,平均体重に近い健全なマツノマダラカミキリ成虫で,供試薬剤の成分はMEP, MPP, EDB, sorpol-X (乳化剤),キシレン(溶媒)である。マイクロシリンジを使用して,規定の薬量を供試虫の口腔内または前胸背に滴下し,経口および接触毒性を測定した。各薬剤の経口毒性 (LD50-μg/頭-MEPまたはMPPの純量)は0.578 (MEP単剤), 0.520 (MEP・EDB混合剤), 0.679 (MPP単剤)および0.552 (MPP・EDB混合剤)であり,接触毒性は0.362 (MEP単剤), 0.406 (MEP・EDB混合剤), 0.499 (MPP単剤)および0.524 (MPP・EDB混合剤)であった。しかし, 0.95信頼区間から判断すると,経口毒性にも接触毒性にも,各薬剤間には有意な差が認められないので,マツノマダラカミキリ成虫に対して,有機リン単剤と有機リン剤・EDB混舎剤の殺虫力には顕著な違いはないと思われる。

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