日本林学会誌
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マツカレハ若齢幼虫期の死亡に関与する捕食者の役割
松井 均
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1976 年 58 巻 5 号 p. 168-173

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抄録

東京大学農学部附属演習林田無試験地において,マツカレハの若齢幼虫期に働く死亡要因のうち,いくつかの捕食表について,その働きを知るための野外実験を行なった。クモ類はその捕食行動を通して若齢幼虫期の死亡に関与するが,幼虫の移動や分散に関してはこれを妨げる要因として働いている。カマキリ類は夏には捕食者として働くと同時に幼虫の急激な移動・分散を起こさせる。鳥類は若齢幼虫を捕食するかどうかは明らかでないが,幼虫の急激な分散や死亡を起こさせる要因として働いている。すなわち,これらの捕食者はその捕食行動により直接的な死亡要因として働くと同時に,接触等により移動・分散させた幼虫を結果的に死亡させる要因としても働いていると考えられた。

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