1976 年 58 巻 5 号 p. 174-178
温度25°C,日長16時間に制御した条件下で,可視光域 (380~760nm) の照射エネルギーをかえ,可視光の特定波長域を選択的にへらすことができるカラープラスチックをかけてクロマツとシラカンバのメパエを育てた。赤色光域が少ない光条件下では,照射エネルギーの増加にしたがって上胚軸の伸長生長が促進されたが,青色光域の少ないもの,青色光と緑色光域の少ないもの,いずれの波長域も除去しない人工光のものでは,照射エネルギーが2mW/cm2より増加すると逆に少なかった。いずれの光条件でも照射エネルギーの増加にしたがって,上,下胚軸の直径は増加したが,同じ照射エネルギーでは赤色光域の少ない光条件下で細かった。これらのカラープラスチックのうえに硫酸銅溶液フィルターをのせて遠赤色光域を除去すると,赤色光域の少ない光による上長生長の促進効果がなくなる。このことから,上長生長に特異的に作用する光条件として,遠赤色光域と赤色光域のパランスをかんがえた。