日本林学会誌
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土壤凍結に伴う地中水の挙動と供給について
高 泰朋
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1978 年 60 巻 7 号 p. 235-243

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抄録

本報告では,あらかじめ室内実験で電気抵抗R, 温度Tと各試験地土壤の含水比Wとの問に実験式を求めて,冬期間,凍結,融解のくり返しが著しい地域において,自記記録計で土層のR, Tを連続的に測定し,地中水分を動的に求めた。その結果,表層の凍結の発生,発達に伴い,未凍結土層の水分は地表に近い位置から順次凍結線へ上昇移動し,その移動による含水比の減少量は下層に移るにしたがって少なくなった。そして凍結深10cm以内では,深さ40cmの水分は,ほとんど減少変化を示さず,凍結に関与しないことが確かめられた。よって,一般にいわれるかなりの距離の地下深部からの水分供給というよりは,凍結線からある深さの土層の範囲内にある水分で十分に凍結が進行するものと推定された。なお凍結層がかなり厚い揚合,日中の温度上昇によって融解した凍結層上部の水は,下部の凍結に妨げられて凍結線下の土層に透過せず,またその融解水の再凍結の過程において,未凍結土層の水分の上昇移動も認められなかった。

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