日本林学会誌
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マツノマダラカミキリ蛹の呼吸気に含まれる炭酸ガスとマツノザイセンチュウの行動
宮崎 信山口 彰尾田 勝夫
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1978 年 60 巻 7 号 p. 249-254

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抄録

マツノザイセンチュウBursaphelenchus lignicolusの耐久型幼虫が,蛹室壁からマツノマダラカミキリMonochamus alternatusの羽化時期に虫体に移行する要因について,検討をおこなった。耐久型幼虫を寒天表面に分散させ,蛹の呼吸で発生するガスを送入すると,耐久型幼虫はその発生源に集合したが,呼吸ガスからCO2を除去したものを送入した場合は集合しなかった。このことから,マツノザイセンチュウ耐久型幼虫は蛹の呼吸気に誘引され,その誘引刺激要因の一つはCO2であることが明らかになった。一方,蛹期間に発生するCO2量をGLCで求めると, CO2生成曲線はU字型で,とくに羽化期において最高値が得られた。これらのことから,耐久型幼虫が虫体に移行するにあたって,蛹,とくに羽化時に発生するCO2が,重要な役割をもつものと考えられる。

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