1979 年 61 巻 10 号 p. 357-361
北海道のチマキザサ純群落と下層にチマキザサが密生している天然生シラカバ林 (40年生)を対象にして,それぞれの生態系のもつ養分量について調べた。(1) チマキザサの葉の養分含有率は純群落,シラカバ林内ともシラカバの葉よりも小さく, N>K>Ca>Mg>Pの順であった。(2) チマキザサ純群落の乾物量は14.Oton/ha, (葉量3.3ton/ha, 稈10.7ton/ha) で,これに含まれる養分量はKの79kg/haがもっとも多く, Pの7.7kg/haがもっとも少なかった。シラカバ林の地上部乾物量は林木113ton/ha, ササ6.6ton/haでササ純群落の9倍近くあったが,養分量ではサさ群落の1~2倍にすぎなかった。シラカバ林ではPとKは林木よりもササのほうに多く蓄積されていた。(3) A0層の有機物量および各養分量はシラカバ林のほうが多かった。(4) 土壌中の養分量のうちCとNでは,ササ純群落よりもシラカバ林のほうが少なかった。ミネラルでは0.2N HCl抽出および熱HCl抽出でも両林分とも大差なく, Ca>Mg>K:>Pであった。