日本林学会誌
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ケヤキ種子の低温湿層処理期間とその処理後の発芽に及ぼす温度と光の影響
石井 幸夫
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1979 年 61 巻 10 号 p. 362-366

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抄録

ケヤキ種子の低温湿層処理(以下冷処理という)による発芽促進効果を調べた。冷処理期間が長いほど発芽率が高く,発芽所要日数も短かった。ただし,その効果は,まきつけ床の温度と光の影響を受けた。暗黒下における定温条件下での60日間冷処理した種子の発芽適温域は, 10~30°であった。それに対し, 30日間冷処理と無処理は,それぞれ, 10~20°C, 15°であり, 60日間冷処理にくらぺてせまい。また,変温を与えると定温より発芽率が高くなった。さらに暗黒下よりも光を与えた場合のほうが,定温,変温条件下ともにやや発芽率が向上した。変温と光が発芽率を向上させる影響は,無処理や冷処理期間の短い場合に顕著であるが, 60日間冷処理した場合にはこうした影響はなく, 10~30°C温域では, 70%以上の高い発芽率を示した。

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