1984 年 66 巻 11 号 p. 439-445
スギカミキリに対して抵抗性,感受性を示す在来品種を供試材料として,幼虫の接種試験と人為的な傷害試験を行い,樹脂道の発現状況の差異を調べた。幼虫を接種した場合,抵抗性の品種(ヤブクグリ,ボカスギ)では内樹皮の二つ以上の年輪層に樹脂道が形成され,とくに内樹皮の最外部に形成される傾向が認められた。一方,感受性(クモトオシ,メアサ)および中間の抵抗性(サソブスギ)のものでは,内樹皮の内側の一つの年輪層に樹脂道が形成された。人為的傷害試験の場合にも,在来品種問で樹脂道の形成に差異が認められ,幼虫接種の場合の樹脂道の形成と非常に類似していた。このことから人為的な傷害試験は,スギカミキリに対する抵抗性の間接検定手法として利用することが可能である。