アカエゾマツは北海道の主要造林樹種であるが,材の性質に関する基礎的データは現時点ではわずかである。材の性質が明らかとなれば造林,間伐など人工林施業の計画を有利に推進,実行することができる。本研究では軟X線デンシトメトリーを用い,アカエゾマツ造林木の容積密度数に関する基礎的データを示した。その結果,アカエゾマツ樹幹の容積密度数の分布は均質であり,容積密度数を高める要因は早材部の容積密度数と晩材率が同時に影響することがわかった。また,早材部容積密度数は遺伝的要因に直接的に支配されるが,晩材率は間接的に直径成長の影響を受けることがわかった。これらのことから,早材部の容積密度数が高いクローンを造林すれば,重い材が短期間に収穫できる可能性がある。