1998 年 80 巻 4 号 p. 254-261
閉鎖林における隣接木間の競争による対象木の優劣を定量的に明らかにするために,林木の直径と同じ樹高を有する疎開木直径の比を導入して林木の影響圏半径を推定し,影響圏相互の重複度合いにより,単木の競争指数と優勢指数を求めた。林齢40年前後のカラマツ同齢林に900m2の方形プロットを二つ設定した。林分の中の小さな個体は大きな競争指数と小さな優勢指数を持ち,大きな個体は小さな競争指数と大きな優勢指数を持っていた。競争指数と優勢指数から算出した優勢度によって,林内における単木の優勢性の大きさを表すことができた。優勢度をもとに間伐木の選木を行うと,間伐後の残存木は相互の影響圏の重複面積の減少から,競争指数と優勢指数が減少した。また,間伐方法の違いによって単木の競争に与える影響が異なり,下層間伐の場合は,残存個体の優勢指数の下がる幅が大きいが,上層間伐の場合は,残存木の競争指数の下がる幅が大きいことを定量的に明らかにした。