最初に森林レクリエーションの関連概念を整理してから,森林(自然地域)と人間,管理の三つの要因からなるフレームワークで,森林レクリエーションを位置づけた。次に,日米における研究の歴史的展開過程を比較し,今後の日本における研究の方向性を探った。その結果,アメリカの影響を選択的に受けつつ,日本では依然として森林環境主体の研究が多く,管理改善に結びつく利用者の満足感に関する研究は緒に就いたばかりであることが明らかになった。今後のレクリエーションとその研究の質的な向上には,1)アメリカを含む先行研究をふまえた成果の体系的な蓄積,2)フレームワークにもとつく研究の視座の明確化,3)管理データの蓄積と研究成果のフィードバックによる管理者と研究者のコミュニケーション促進,4)森林の文化資源の役割に関する研究,5)自宅からのアクセスを含む環境保全型フレームワークの構築が必要となっていること示された。