日本林学会誌
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山岳自然公園におけるROS概念を用いた地域区分手法
八巻 一成広田 純一小野 理庄子 康土屋 俊幸山口 和男
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2003 年 85 巻 1 号 p. 55-62

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抄録

山岳自然公園地域の自然らしさを維持し,秩序ある利用を図るためには,地域ごとにレクリエーション空間としてのあり方を明確にし,それに沿って施設整備,空間管理を行うことが求められる。本研究では,利用者のレクリエーション体験を考慮した計画概念であるROS(Recreation OP Portunity Spectrum)の,わが国の自然公園利用計画への適用可能性を検討するために,大雪山国立公園を対象としてROSによる地域区分を試みた。まず利用者に対するアンケート調査を行い,施設整備水準やアクセスなどに対する嗜好性が異なる四つのグループに分類した。つぎにこの分類結果をもとに,人為性が高く施設整備が進んでいる,利用者が多いなどの特徴のある空間から,自然性が高く施設整備水準が低い,利用者が少ないなどの特徴のある空間まで,空間状況に応じて地域を四つに区分することによって対象地域の現況把握を行った。以上のROSによる現況把握をもとに利用計画の検討を行えば,利用者の視点を加味した客観的かっ合理的な自然公園計画の策定が可能となると考えられた。

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