日本林学会誌
Online ISSN : 2185-8195
Print ISSN : 0021-485X
クロマツのさし木発根性に及ぼす摘葉•摘芽の影響
佐々木 峰子倉本哲嗣平岡 裕一郎岡村 政則藤澤 義武
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 86 巻 1 号 p. 37-40

詳細
抄録

クロマツのさし木による効率的な生産システムを確立するため, さし穂の調整手法の最適条件を検討した。1年生実生苗の主軸をさし穂とし,摘葉•摘芽め強度および切口の処理を変えてさし木を行った。その結果,1)針葉が54%以上あれば発根率54~62%を示したが,過度な摘葉によって発根率は低下した。また,針葉が54%の処理区で最も根系が発達した。2)冬芽を一部または全て除去したさし穂は,冬芽を残したものより発根率が高かった。3)切口は返し切りを行うことで発根率が高まる傾向にあるが,有意差はみられなかった。以上から,発根の最適条件は,針葉の半数除去•冬芽除去•返し切りを行うことであると推察される。ただし冬芽を除去したさし木苗は成長が悪いため,事業化にあたっては考慮する必要がある。

著者関連情報
© 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top