クロマツのさし木による効率的な生産システムを確立するため, さし穂の調整手法の最適条件を検討した。1年生実生苗の主軸をさし穂とし,摘葉•摘芽め強度および切口の処理を変えてさし木を行った。その結果,1)針葉が54%以上あれば発根率54~62%を示したが,過度な摘葉によって発根率は低下した。また,針葉が54%の処理区で最も根系が発達した。2)冬芽を一部または全て除去したさし穂は,冬芽を残したものより発根率が高かった。3)切口は返し切りを行うことで発根率が高まる傾向にあるが,有意差はみられなかった。以上から,発根の最適条件は,針葉の半数除去•冬芽除去•返し切りを行うことであると推察される。ただし冬芽を除去したさし木苗は成長が悪いため,事業化にあたっては考慮する必要がある。