抄録
背景:がん患者の心のケア・サポートの必要性が重視されるなか,患者の相談行為などの実態は明らかではない。目的:がん患者の心の支えと相談行為の実態を把握する。対象:がん患者およびサバイバー。方法:インターネットを媒体とした質問紙調査。結果:がん罹患以降日常的に「心の支えとなる人」を必要とした者は64.6%で,その担い手の大半は家族であった。患者同士で助言し合った者は46.8%で,そのうちの84.2%はそれを通じて気持が楽になっていた。精神科・心療内科医を受診した者は10.8%,セカンドオピニオンを試みた者は22.0%,スピリチュアルペインを体験した者は35.4%であり,後者の33.9%がスピリチュアルな悩みを誰かに相談していた。家族が落ち込んだ者は42.4%で,そのうちの62.7%が自身で落ち込んだ家族の相談にのっていた。考察:患者の医療者への相談行為を促進するような体制整備の必要性が示唆された。