抄録
市立旭川病院精神科において,思春期外来が開設された1991年1月から2005年12月までの15年間の3歳から18歳までの児童思春期患者の初診の外来統計を集計した。初診した患者の総数は1,339人(男子508人,女子831人)で,13歳以上の思春期患者が79.0%を占めていた。ICD-10による診断的内訳で最も多かった疾患は,神経症性障害(F4)で全体の49.3%であり,次いで小児期および青年期に特異的な行動と情緒の障害(F9)(13.1%),統合失調症圏(F2)(11.4%),生理的障害などに関連した行動症候群(F5)(9.0%)の順であった。近年の特徴として,広汎性発達障害(F84)や多動性障害(F90)といった発達障害圏の患者数の著しい増加があげられる。また,1,339名の患者のうち429名(32.0%)が不登校を主訴に受診しており,ICD-10によって神経症性障害(F4)と診断される患者が最も多かった。以上の結果から,思春期外来に求められる役割として,神経症性障害や発達障害圏に対する治療や支援体制の充実とともに,増え続ける患者に対応するために児童精神科医を新たに養成していくことも重要な課題であると考えられた。