抄録
向精神薬の副作用である口渇は,治療コンプライアンスやQOLを低下させる障害である。そこで本研究では,口渇症状を訴える向精神薬服用者に対して,抗コリンエステラーゼ作用による唾液分泌促進効果が報告されているH2遮断薬nizatidineを投与し,その効果を検討した。当科外来受診中の向精神薬服用者のうち,口渇を訴えた22名(男性6名,女性16名,平均年齢53.1±14.8歳)を対象とし,nizatidine(アシノンⓇ)を通法に従い,8週間投与し,口渇自覚症状スケールを用いてその間の口渇症状の変化を観察した。その結果,nizatidine投与前と比較して,4週,8週で口渇症状は改善した。このことより,nizatidineは向精神薬服用者の口渇症状改善に有用と思われた。