抄録
関西医科大学附属滝井病院精神神経科外来に通院中の慢性期統合失調症および失調感情障害患者57例においてrisperidone持効性注射製剤(RLAI)への切り替えを行い,6カ月間の有効性,忍容性,処方動向の変化,継続率の検討を行った。RLAIの治療継続率は71.8%であり,BPRS総得点では有意な低下が認められたが(p=0.002),DIEPSS合計点では有意な低下はみられなかった。 抗精神病薬やbenzodiazepine系薬剤,抗パーキンソン病薬などの併用薬投与量は,RLAI投与開始前と比較し有意な低下は認められなかった。高い治療継続率やBPRSの改善には患者へのアプローチへの工夫や服薬アドヒアランスの改善,製剤の特徴が関係している可能性があると考えられた。これらのことから,RLAIは総合病院精神科での外来治療の継続維持に有用な選択肢の一つとなることが示唆された。