抄録
がん患者にとって家族は重要なケア提供者である。家族が患者の心の負担や患者への心のケア・サポートをどのようにとらえているかを把握する目的で,家族500名を対象としたインターネット調査を実施した。家族からみて患者が最も心の負担を感じるときは病名・再発・転移告知であり,その際に,家族からみて医療者の患者への心のケア・サポートが「あった」は26.4%,「なかった」は26.9%(提供者は主治医86.7%,看護師38.1%),その結果「楽になったようだ」は87.6%を占めた。家族からみた患者自らの相談は「あった」が53.5%で,その相手は家族が93.9%を占めた。家族が希望する「がん患者に対する心のケア・サポート」は,主治医や医師による診断時からの励まし,安心感の提供,適切な情報提供などであった。患者の心の負担と患者への心のケア・サポートのとらえ方は,患者家族間で異なる可能性が示唆され,それを踏まえたケアの必要性がうかがわれた。