抄録
目的:1型糖尿病に罹患した青年期前期患者の摂食の問題,抑うつ傾向,解離傾向,自傷行為の経験を自己記入式質問票により調査し,その特徴を明らかにすることを目的とした。
方法:神奈川県立こども医療センター内分泌代謝科または北里大学小児科に通院中の10歳以上15歳以下の1型糖尿病患者を対象に無記名式の自己記入式質問票を用いて調査を実施した。34名中各24名から有効回答が得られその結果を分析した。対照群は横浜市内の小学5年〜中学3年生1,109名とした。
結果:患者群は対照群よりも食行動調査表縮小版(EAT26)のカットオフ値を超えた者の割合が有意に高かった。EAT26の得点とBirleson小児期うつ病スケールの得点との間に有意な正の相関を認めた。
結語:青年期前期の1型糖尿病患者は対照群と比べて摂食の問題を有する可能性が高いこと,抑うつ傾向が摂食の問題に関連することが示唆された。