抄録
総合病院の精神科は,現行の診療報酬体制においては,収益という面では非常に厳しい現実がある。このために統計的にも明らかにされているとおり,多くの総合病院で精神科病床の削減・閉鎖や,精神科診療そのものが廃止されるに至っている。そのなかでも,総合病院における「認知症の専門外来」は,収益性においては最も厳しい部門であると思われる。総合病院における認知症専門外来に期待される役割は,いろいろな診断機器・専門家による早期発見や鑑別診断,身体合併症対応であろう。このためには,各種の血液検査・神経心理検査・画像診断などが,一般の精神科外来よりも多く実施されていると思われるが,これらに伴う収益は,総合病院における認知症専門外来を存続可能にする条件を満たしているとはいい難い。これを当院の認知症専門外来の収益性について,実際の数値で検討・確認した。さらに,現在の病診連携の有効性についても検討し,その問題点を指摘した。