2015 年 27 巻 1 号 p. 27-35
ベンゾジアゼピン(benzodiazepine:BZ)系薬は,ほぼすべての診療科で使用されている一方,依存性をはじめとする副作用のために,適正使用を促す対策が求められている。東京女子医科大学病院では,BZ系薬の適正使用啓発活動として,①啓発冊子の作成と配布,②職員対象の広報活動,③採用医薬品の見直しを行った。これらの活動は,精神科,薬剤部,医療安全対策室が協力して行った。啓発冊子の内容は,BZ系薬の名称,効果,副作用,中止の方法,不眠や不安への薬以外の対処方法,専門科受診の案内などとした。これらの活動の結果,当院でのBZ系薬の処方患者数は約18%減少した。また,処方せん発行患者数におけるBZ系薬の処方割合も約4%減少した。薬剤師を対象とした調査では,活動に対する問題は報告されなかった。BZ系薬の適正使用に向けた取り組みは,BZ系薬の処方患者数を減少させる効果があることが示唆され,大きな問題は生じないことが示された。