2017 年 29 巻 1 号 p. 52-59
目的:自殺企図の衝動性と患者の精神的・社会的背景の関連を明らかにし,救急現場の精神科介入の一助とするため,本研究を行った。対象と方法:救命救急センターに搬送された自殺未遂患者37例を対象にした。一時的な希死念慮の高まりから衝動的な自殺企図を起こした群と,それ以外の非衝動的な群に区分し,患者背景を後方視的に比較検討した。結果:単変量解析では非衝動的な自殺企図群のほうで,致死的な自殺企図手段を用いた患者,企図後も希死念慮が存在する患者が有意に多く,衝動的な群のほうでは企図に至った原因が対人問題であった患者が有意に多かった。このうち多変量解析では,致死的な自殺手段および企図後の希死念慮の存在で有意差を認めた。考察と結語:自殺企図患者の特徴を把握したうえで,自殺の再企図予防の介入を行う必要があると考えた。