2017 年 29 巻 3 号 p. 243-251
総合病院・身体科医療領域における心理職の教育・研修制度は整備途上にあるが,心理職の育成は急務である。当院ではコンサルテーション・リエゾン(CL)活動の実践に重きを置いた心理インターンシップ制度を続けており,その変遷から当該領域における実践型プログラムのあり方について考察した。プログラムの実施にあたり,CL活動におけるコア・コンピテンシーは①多角的理解力, ②力動理解と協働能力,③疎通困難な患者との疎通能力と考えられた。これらの能力の習得には少なくとも480時間が必要であり,実践型プログラムにより多角的理解力と疎通能力は習得可能であったが,協働能力にはさらなる時間と経験が必要であると思われた。実践型プログラムの実施においてはCL特有の構造の複雑さやリスクマネジメントに留意する必要がある。今後は指導者の質の担保も課題となるが,実践型プログラムが即戦力のある人材の育成につながることが期待される。