総合病院精神医学
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総説
精神科医としてのアイデンティティをいかに育むか
─“御用聞き”的リエゾン回診の果たす役割─
堀川 直希中村 倫之大島 勇人内村 直尚
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2018 年 30 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

総合病院における精神科医の重要な役割として,コンサルテーション・リエゾンサービス(以下,CLS)があげられる。当院では,1983年から“御用聞き”的発想に基づくCLSを行っており,毎日受け付けているコンサルテーション以外に,毎週一度,依頼のあるなしに関わらず全病棟を回診している。

“御用聞き”的リエゾン回診を行うことで,コンサルトとしてだけではなく,本来のリエゾンとしての役割も兼ね備えた関わりが可能となる。また,教育的な役割も大きく,上級医とともに精神科専攻医となったばかりの医師が回診に参加することで,治療技法について学ぶだけでなく,他科医師や多職種スタッフと連携しながら治療を作り上げていくやりとりを直に見ることができる。総合病院のなかで精神科医の役割やニーズが高まっている状況を知り,心を開いて周囲と連携していく重要さや面白さに触れることで,自らの精神科医としてのアイデンティティを育むよい機会となるものと考える。そのため,“御用聞き”的なリエゾン回診は,専攻医の研修にとっても非常に意義深い取り組みと考える。

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© 2018 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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