2018 年 30 巻 1 号 p. 24-27
国内にがん診療連携拠点病院が整備され,がん診療の均てん化が国主導の形で進められてきた。そのなかで,がん拠点病院では標準的な緩和ケアをがんと診断後早い時期から提供していくことを目的に,「緩和ケアチーム」の設置が義務付けられた。緩和ケアチームは,医師,看護師,薬剤師,臨床心理士,栄養士などからなるチームであるが,そのチームの人員必須要件として「精神症状緩和医師」が定められている。緩和ケアチームの運用において,精神科医師の参加は大きな意義をもっており,その活動の幅も広いが,全国のがん拠点病院で精神科医師が充足しているとは言いがたい。また,がん患者や家族は,その疾患特異的な心理状態や問題を抱えており,がん診療に習熟した精神科医が求められている。