2018 年 30 巻 3 号 p. 251-257
自殺企図した全症例に対する心理アセスメントが推奨されているが,致死性の高い自殺企図に焦点を当てた研究は乏しい。東京都立多摩総合医療センターは24時間精神科医にコンサルテーションでき,「並列モデル」が可能な総合病院である。精神疾患併存3次救急症例の特徴および救急科と精神科の連携の現状を明らかにすべく,平成26・27年度に3次救急搬送され精神科にコンサルトされた症例を後方視的に検討した。 全272例の中央値は41.5歳(四分位:28.0−51.3歳),男性は41.5%と,大学病院からの既報と概ね同等であった。全救急搬送を扱った既報と比して,3次救急搬送される致死性の高い自殺企図は相対的に高齢で,男性に多い傾向にあった。76.1%は翌日までにコンサルトされ,在院日数2日以下が68.8%であり,既報よりも処遇決定は迅速な傾向にあり,精神科入院が必要と判断された例は22.4%であった。診療科間・支援機関とのさらなる連携強化による,有効な介入の策定が期待される。