総合病院精神医学
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症例
再栄養症候群か飢餓状態かの鑑別に苦慮した超低体重神経性やせ症の2 例
小林 聡幸佐藤 謙伍小林 祐介岡田 剛史岡崎 翼安田 学塩田 勝利須田 史朗
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2018 年 30 巻 4 号 p. 359-364

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抄録

神経性やせ症の治療において栄養の補給は喫緊であるが,急激な栄養補給は再栄養症候群を来す恐れがあり,特に低体重症例で危険は大きい。本稿でわれわれは,BMIが12kg/m2未満で入院となり,栄養補給を始めたところ急速に肝酵素の上昇を呈して身体状況が悪化し,栄養症候群か飢餓状態かの鑑別に苦慮した2例の神経性やせ症症例を提示する。再栄養症候群とみる内科医に対して,担当主科である精神科の判断として飢餓状態と診立てて栄養を漸増し,危機的状況を脱した。超低体重症例においては,頻回のモニタリングと電解質の補正の下,従来推奨されているより高めの栄養を投与することで,このような危機的状況を脱し得るものと思われる。

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© 2018 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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