総合病院精神医学
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症例
幻味と鑑別困難な味覚障害を呈したレビー小体型認知症の1例
鵜飼 克行
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2018 年 30 巻 4 号 p. 353-358

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抄録

Lewy小体型認知症(DLB)の高齢患者の治療中に,幻味と区別が困難な味覚障害が生じ,亜鉛含有製剤の投与により改善した1例を報告した。高齢者は味覚障害が生じやすい条件が多く,DLBには幻味が生じる症例も稀ではあるが存在することから,その鑑別は重要である。この症例から得られた見解は,以下のごとくであった。1)DLBに合併する味覚障害の訴えが激烈かつ奇妙になると,幻味との鑑別が難しい場合がある。2)味覚障害が生じる原因への対応・治療には様々なものがあるため,多職種連携による診療は極めて有用と考えられた。3)亜鉛欠乏性を含めた一般の味覚障害と幻味の鑑別の指標を考察・記載したが,症例を重ねてのさらなる検討が必要である。4)Lewy病理による中枢神経障害性異常味覚の可能性,その病態と治療法の究明が期待される。5)幻味(稀な幻覚)に対するdonepezilを含むコリンエステラーゼ阻害薬の有効性の検討が期待される。

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© 2018 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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