東海公衆衛生雑誌
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女性高齢者の年齢階級別にみた健康状況と生活習慣に関する調査
~地域の体操教室の参加者における調査~
尚 爾華加藤 利枝子中川 弘子渡邉 美貴鈴木 貞夫
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2019 年 7 巻 1 号 p. 114-119

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抄録

目的 高齢化社会がますます進む中,健康寿命を延ばすことを目標に様々な取り組みが実施されている。地域においても,老人福祉センターを中心に高齢者向けの健康教室や体操教室などが開催されている。しかしながら,地域在住高齢者の現状は十分に明らかにされていない。そこで,地域在住高齢者の健康状況および生活習慣,主観的健康度について明らかにすることを目的に調査を実施した。

方法 愛知県名古屋市の老人福祉センターで実施されている「健康体操教室」に参加する60歳以上の地域在住高齢者を対象に自記式無記名質問紙を用いて調査を行った。質問項目は,身長,体重,現在歯数,日常生活動作,飲酒や喫煙などの生活習慣および主観的健康度についてである。解析対象は65歳以上の女性537人で,65-69歳,70-74歳,75-79歳,80-84歳,85歳以上の年齢階級別に各項目について集計し,x2検定にて検討した。

結果 対象者の年齢は65~94歳で,平均年齢±標準偏差は75.3±5.7歳であった。調査票に記載された身長と体重から算出したBMIは,75%の対象者が「18.5以上25未満」であり,多くの対象者が適正体重を維持していた。日常生活動作では,「立ったままズボンやスカートをはく」という質問では,「できない」が80歳未満の年齢階級では0~1.3%であったのに対し,80-84歳,85歳以上で,ともに7.1%と有意に高かった。「休まずに歩ける時間」の質問では,「1時間以上」は65-69歳59.6%,70-74歳57.5%,75-79歳45.4%,80-84歳31.6%,85歳以上27.3%と,80歳以上で低い割合であり,80歳以上の約60%の対象者が「20~30分程度」と答えた。

結論 「健康体操教室」に参加する本研究の対象者において,80歳以上で日常生活動作の低下が現れることが明らかになった。健康を維持するために,高齢者の日常生活動作の低下予防のための適切な支援が重要である。

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© 2019 東海公衆衛生学会
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