日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
S状結腸憩室炎に起因すると考えられた子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎の1例
田中 浩司中村 浩志桑原 博中島 和美五関 謹秀
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2009 年 42 巻 11 号 p. 1743-1747

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抄録
 症例は79歳の女性で,腹痛を主訴に当院を受診.触診上腹膜刺激症状がみられ,CTでは多量の遊離ガス像と多発S状結腸憩室および骨盤内に液体・空気貯留を伴った腫瘤を認めた.骨盤内膿瘍を伴ったS状結腸憩室穿孔による汎発性腹膜炎と診断し手術を施行した.術中所見では子宮底部が穿孔し,膿汁が漏出していた.また,S状結腸は浮腫状に壁が肥厚し,発赤・腫脹した左卵管と癒着していた.子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎,S状結腸憩室炎と診断し,単純子宮全摘左付属器切除,S状結腸切除,Hartmann手術を施行した.病理組織学的に子宮留膿腫の所見を認めた.原因として,S状結腸癒着部近傍の卵管壁内に食物残渣があり周囲に強い炎症所見を認めたことより,S状結腸卵管瘻が推測された.本症例は,S状結腸憩室炎に起因すると考えられた子宮留膿腫穿孔から汎発性腹膜炎を来したまれな症例であった.
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