日本消化器外科学会雑誌
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膵頭十二指腸切除術—いつ,誰に
松末 智西村 理吉村 玄浩
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2009 年 42 巻 11 号 p. 1748-1754

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抄録
 膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodenectomy;以下,PD)施行を誰に委ねるのか,またその指導者の資格についての議論は十分でない.初回PD施行時の外科医の調査を行いこの問題を検討した.31年間に一定術式で施行されたPD 334例のうちシニアレジデントが初めて施行した18例(以下,R群)について診療録から外科医の情報と手術結果を調査した.同時期に新任スタッフが施行した8例(以下,S群)を対照とした.R群執刀医の経験年数の中央値は5.35年,S群13.2年であった.R群の指導助手は7人が担当し手術時経験年数は22年でPD経験数は19.5例であった.S群指導助手は2人で,経験年数とPD経験数は24年と42.5例であった.両群の手術時間,出血量,手術合併症,在院日数は変わらなかった.PDは特殊ではなく,地道な基礎的手技の修練と経験豊富な指導の基で十分な達成度が得られる.多症例施設は指導体制を整備し,PD施行医と指導医の効率的養成の責務を負う.
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