日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
食道粘膜下血腫により胎児仮死とショックを来した食道アカラシア合併妊婦の1例
谷島 雄一郎柏木 秀幸西川 勝則佐々木 敏行松本 晶矢野 文章小村 伸朗矢永 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 43 巻 10 号 p. 1014-1018

詳細
抄録
 症例は32歳の初回妊娠の女性で,妊娠26週0日で吐血を主訴に近医を受診し,経過観察目的で入院していた.26週2日に貧血の進行と持続する吐血のため当院に搬送となった.来院時の胸腹部CTと上部消化管内視鏡検査では下部食道の屈曲とその口側の著明な拡張を認め,食道内腔には多量の血液貯留を認めた.母体はショック状態であり,胎児仮死も来していたため,即座に緊急手術となった.帝王切開・噴門形成・胃瘻造設術を施行.分娩児は917 gでapgar-score 4点の男子.食道アカラシアはsigmoid typeで,嘔吐を契機として広汎な粘膜下血腫を来し,その破綻により高度な貧血を来したものと考えられた.術後は母子ともに経過良好で,母体は術後18日目に退院,児は103日の入院管理後退院となった.文献的考察を含めて報告する.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top