日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腸閉塞にて発症した回腸動静脈奇形の1例
山中 秀高朝本 はるる石坂 貴彦川井 覚松永 宏之松永 和哉鬼頭 靖神谷 里明松崎 安孝松浦 晃洋
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2011 年 44 巻 4 号 p. 455-461

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抄録
 症例は71歳の男性で,既往歴に26歳時,虫垂切除術,62歳時,胃癌で開腹幽門側胃切除術,67歳時,腸閉塞(保存的治療のみ).家族歴に特記所見なし.今回,腹痛,嘔吐にて入院した.腹部は膨満,軟,臍周辺の軽度圧痛あるも腫瘤触知しなかった.血液検査で軽度貧血のみ認めた.腹部単純CTで癒着性単純性腸閉塞と診断し,保存的治療で一旦軽快したが,経口摂取開始により再発した.腹部造影CTで回腸狭窄を認めたが腫瘤はなく,反復性癒着性腸閉塞と診断し手術を施行した.索状物による回腸狭窄を認め,回腸部分切除術を施行した.摘出標本で周囲に神経組織と脂肪組織の増生を伴い,腸管壁外から固有筋層を貫き粘膜下に及ぶ,Endoarterial fibroelastosisを示す異常血管の塊状増生を認め,先天性動静脈奇形と診断された.腸管の動静脈奇形はほとんどが消化管出血で発症し,腸閉塞を来すものは非常にまれであり,文献的考察を加え報告した.
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