日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
手術直前に壊死性筋膜炎を合併した潰瘍性大腸炎の1手術例
黒川 友博山本 雅由柳澤 和彦大河内 信弘
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2011 年 44 巻 4 号 p. 462-467

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抄録
 症例は38歳の女性で,36歳時に下痢を主訴に発症した全大腸炎型の潰瘍性大腸炎.メサラジン,プレドニンを投与されていたがコントロール困難となり,LCAP,ATM療法を施行するも症状の改善なく,手術の方針となった.入院前より,下腿浮腫がみられ,漿液性の滲出を認めていた.手術前日朝より両足背に疼痛と発赤が出現した.翌日,結腸全摘術,回腸人工肛門造設術を施行したが,術後,表皮壊死が拡大し,DICとなった.緊急MRIにて,下腿皮下に網状の信号を認め,大腿筋膜に沿って滲出液がみられるも,筋肉内に壊死を示唆する不整な造影効果はなく壊死性筋膜炎と診断した.同日夜,両下腿のデブリドマンを施行した.術後,敗血症,DIC,肺水腫を併発し,人工呼吸器管理となったが,徐々に改善した.3年2か月経過した現在で再発兆候なく,経過良好である.今回,我々は壊死性筋膜炎を合併した潰瘍性大腸炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
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