日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
上行結腸癌術後の腰部骨格筋転移の1例
藪内 伸一中川 国利鈴木 幸正遠藤 公人小林 照忠小村 俊博
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2011 年 44 巻 6 号 p. 759-766

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抄録
 大腸癌の骨格筋転移例を経験したので報告する.症例は63歳の女性で,平成18年12月上行結腸癌に対して結腸右半切除術を施行した.術後,UFT/UZELの補助化学療法を6か月間施行した.術後9か月目にcarbohydrate antigen 19-9の上昇を認めたが,画像検査では明らかな所見を認めなかった.腰痛が生じ,さらに腫瘍マーカーが上昇したため,再度精査を施行したところ,fluorodeoxyglucose-positron emission tomographyで腰部に高集積を認めた.CT,MRIで腰部骨格筋に周囲が濃染する腫瘍を認め,針生検で大腸癌の骨格筋転移と診断した.局所に放射線療法を施行した.mFOLFOX6療法を8クール施行し,腫瘍マーカーは著明に下降した.Grade 3の神経症状が出現したため,sLV5FU2療法で加療を継続中で,術後2年9か月現在,明らかな遠隔転移を認めていない.大腸癌の骨格筋転移は検索しえた範囲で16例目と非常にまれであるため報告する.
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