日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腸石形成・穿孔をともなった盲端症候群の1例
村田 嘉彦宮田 完志湯浅 典博竹内 英司後藤 康友三宅 秀夫永井 英雅小山 明男田畑 光紀小林 陽一郎
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2011 年 44 巻 6 号 p. 752-758

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抄録

 症例は63歳の女性で,17歳時に急性虫垂炎と腹膜炎のための手術を受けている.その46年後に腹痛を主訴に当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で回腸—横行結腸吻合の存在,回腸終末部から上行結腸,横行結腸がそれぞれ盲端であることが診断された.この6か月後,右下腹部痛のため当院を再診した.腹膜刺激症状を認め,CTで盲腸・上行結腸の壁肥厚・拡張と腹水を認めたため緊急手術を施行した.盲端となった上行結腸が穿孔していたため,回腸終末部・上行結腸の盲端部分を切除した.盲端内には8個の腸石を認めた.本症例の穿孔はself-filling typeの盲端の内圧上昇,細菌の異常増殖による感染,腸石による機械的刺激が原因と考えた.穿孔を合併した盲端症候群の本邦報告は10例で,自験例は腸石を伴う唯一の症例であった.腹痛を伴う盲端症候群は穿孔の可能性があるため,手術を考慮すべきである.

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