抄録
Midline extrapreperitoneal approachによりメッシュ修復法を行った閉鎖孔ヘルニア11例を検討した.Howship-Romberg徴候は7例,腸閉塞症状は7例に認め,発症から手術までの時間は12時間から7日間であった.閉鎖孔の修復にはMesh sheetを10例,Kugel patchを1例で用い,全例で両側閉鎖孔の修復を行った.腸管の嵌頓は7例に認め,全例小腸であった.腸管切除は5例で行い,洗浄とドレーンを腹膜前腔に留置することでメッシュの感染はなかった.合併症は腸閉塞,誤嚥性肺炎,創離開が各1例で再発はなかった.このアプローチでは閉鎖孔の観察が両側とも可能で,良好な視野で閉鎖孔ヘルニアの嵌頓解除可能なこと,開腹する際も腹膜の切開が最小限ですむこと,メッシュを挿入するスペースが剥離できるなどの利点があり有用なアプローチ法であった.