症例は63歳の女性で,約8か月前より肝嚢胞を指摘され経過観察されていた.2009年6月,CA19-9が上昇したため精査目的にて入院となった.腹部超音波,CT,MRIにて肝左葉に嚢胞性病変を認め,嚢胞壁の一部に壁肥厚を認めた.FDG-PETを施行したところ嚢胞内部に異常集積像を認めた.腫瘍マーカーの上昇およびFDG-PETの異常集積像より胆管嚢胞腺癌と診断し,肝左葉切除術を施行した.切除標本では嚢胞の一部に壁肥厚を認め,嚢胞内部に血腫および粘液を認めた.病理組織学的検査では胆管嚢胞腺癌であり,卵巣様間質を伴っていた.術後合併症は認めず,術後12か月の現在,再発なく健在である.卵巣様間質を伴う胆管嚢胞腺癌は極めてまれな疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.