日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
門脈閉塞を伴ったGroove pancreatitisに対し幽門側胃切除,Roux-en Y再建術を施行した1例
友松 宗史安井 智明生田 真一相原 司飯田 洋也柳 秀憲覚野 綾子原 均山中 若樹
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2011 年 44 巻 8 号 p. 991-996

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抄録

 症例は39歳の男性で,ビール約1,500ml/日の飲酒歴(エタノール換算75g/日×18年間)がある.上腹部痛,嘔吐,食欲低下で紹介入院となった.血中アミラーゼ値が上昇しており,上部消化管造影,内視鏡検査で十二指腸下行脚に全周性狭窄を認めた.腹部CT,MRIでは膵頭部に径20×15mm大の嚢胞性腫瘤を認め,門脈本幹の閉塞と肝門部には側副血行路の発達を伴っていた.画像上Groove pancreatitisと診断した.保存的治療を行いいったん退院したが,3週間後再燃したため手術を行った.手術は幽門側胃切除,Roux-en Y再建を行った.術後は症状の軽快と嚢胞性腫瘤の消失を認めた.保存的治療に抵抗するGroove pancreatitisに対し膵頭十二指腸切除術を施行した報告がみられるが,本術式も低侵襲かつ有効な治療法の一つと考えられた.

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