日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
Watery diarrhea, hypokalemia, achlohydria syndromeを呈した膵vasoactive intestinal polypeptide産生腫瘍の1切除例
廣瀬 淳史田島 秀浩牧野 勇林 泰寛中川原 寿俊高村 博之北川 裕久谷 卓藤村 隆太田 哲生
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2012 年 45 巻 12 号 p. 1194-1201

詳細
抄録

 症例は62歳の男性で,10年程前より糖尿病にて加療されており,2007年のCTで膵体尾部の腫大を指摘されたが経過観察となっていた.2010年8月頃より頻回の下痢を認めるようになり,同年12月に同症状および高血糖・高ケトン血症を認め前医入院となった.精査にて膵vasoactive intestinal polypeptide(以下,VIPと略記)産生腫瘍と診断され,2011年1月当院内科に転院となった.膵体尾部ほぼ全体を占める腫瘍で肝転移および胆囊総胆管結石を伴っており,脱水や電解質異常は保存的に補正できたものの,2‍ ‍l/day近い下痢が改善しないため,手術目的に当科紹介となった.同年2月初旬に膵体尾部切除術,肝部分切除,胆囊摘出術および総胆管切開切石術を施行した.術直後より下痢は消退傾向となり,術後1日目には消失した.血中VIP値に関しても術後3時間で著明に低下し,高血糖や顔面紅潮,高カルシウム血症も術後2日目までには全て軽快した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top